なにが大変って、初対面の人の顔と名前を覚えるのが苦手だったから、まず朝“おはようございます、○○です”と名前を言われても、その一回じゃ覚えられるわけもなく、しかも殆どのお客さんがキャップを被って黒っぽい服を着たおじさんなんだから識別困難に決まってる。
お客さんはたいてい“今日は調子が悪い、腰が痛い、昨夜飲み過ぎた”ってなことを言いながらゴルフやってて、今日は特にスコアが悪いのかなって思って聞いてたけど、どうやら自分の希望するスコアとかベストスコアに届かないってことみたい。
そんでもってこっちはゴルフは始めたばっかだしとんでもなく下手くそなんだけど、キャディーさんはゴルフが上手そうですねってよく言われる。ホントにホントに下手なんだってば。今までお客さんでわたしより下手だった人は5人くらいしかいないのに。キャディーが今日の客は下手なだな”って思ってるなんてことは、少なくともわたしの中では殆どないこと。トーナメントでプロゴルファーに付いてるキャディーだったら、付いたプロに良いスコア出して欲しいと思うだろうし失敗しないで欲しいだろうけど、わたしらは普通にレジャーでゴルフやってるお客さんに付いてんだから、数字よりも楽しんでってくれる方がいいわけで、下手でも進行が順調ならなんの問題もないんだよね。
それにこっちも同じ一日仕事だったら楽な方がいいに決まってるんで、第一印象でいいお客さんってのは分かり易いキャラの人。まずは着てるものが派手な色だとか、変わった帽子被ってたりとか髭生やしてるとか。それだけで誰にどのクラブ持ってくか判断するのに楽だし進行もしやすい。分かり易いってことがすでに親切で有り難い。ゴルフなんて下手でも問題ないし、下手で面白いし気が楽。
キャディーの休憩室じゃあみんなお客さんのこと色々言ってるけど、下手も我が儘も分かっててもなかなか治んないわけで、でもとりあえず派手な服着てくることは簡単にできるんだから、お客さんはそこに気をつけて来てくれるともしかしてキャディーもより良いサービスができるかもしれない。


